視える私の見える好き


「顔を上げて下さい。僕としては感謝してます。あんな女性と結婚しなくて良いことに。」
「え?」

ビックリして顔を上げると、男性は優しい顔の表情を浮かべていた。
改めて見ると、かなり高そうな腕時計と立派なスーツ。そしてピカピカな靴を履いており、かなり裕福そうな男性だと気付く。

「ただの政略結婚の予定だったのですが、あんな下品な女に僕の会社の財産を使われると思うと、ゾッとしてました。占い師さんからハッキリ言われて心底安心してます。」

そう言った男性の胸元の運命の証がさっきよりも明るく光ったのがわかる。

「好きな……女性がいるんですか?」
「おぉ!凄いですね。仰る通りお付き合いしていた女性がいましたが、父の命令とは言え、美那さんとお見合いしてから彼女と別れてます。彼女に危害が加わると思ったから。……でも。」

男性は携帯を取り出し、携帯のロック画面を解除したかと思えば、私にある画像を見せてくれる。

その画像は車椅子に座っている可愛らしい女性と、同じ目線でしゃがむ男性の幸せそうな画像だった。

そして画像からでも見える運命の証は……

同じ形をして一致していた。


「あ!答えを言わないで下さいね!噂では画像やテレビ越しからでもその証が見えると聞いてるので。」
「………。」
「占い師さんは、未来の僕が見えてるかもしれませんが、これでようやく彼女を迎えに行ってきます。例え駄目でも、後悔はしない。占い師さん、ありがとうございました。」


再び私達に頭を下げ、そして顔を上げた男性の柔らかい表情から一変、キリッと強い意思を持った顔になっていた。

「何かありましたら連絡下さい。きっとお役に立てると思います。」

差し出された名刺に、会社名と役職と氏名が書かれている。

流石に学生の私は、残念な事に書かれた名刺の会社の凄さは知らなかったが、勇太郎さんと勇次郎さんはその名刺を見て震えていた。