視える私の見える好き


正直な言葉を伝えて落ち込んでしまったあの日。
そして今でもお店を再開するのも自信が無かったのに……。
何もかも自分勝手な美那の存在に、思わず後先考えずに出てしまった彼らの未来の結末。

悠紀くんと腕を組み、そして裏で何かをしている彼女が許せなかった。

こんな人が、悠紀くんの好きな人だなんて。


「運命の文字が一致しておりません。というより、彼女には運命の証がありません。そんな方に明るい未来はありません。」
「このクソガキっっ!!私を侮辱してどうなるか分かってんだろうね!!」

私の服の襟を一瞬掴みかかったと思ったと同時に、勇次郎さんが美那の両腕を取り押さえ、

「お客さ~ん。暴力はいけませんね。」

と、口元は笑っているが目は笑っていない表情を浮かべており、そして私の前に立ち、壁として守る勇太郎さんは腕を組みながら顎を上げ、上から美那を見下ろす形で睨みをきかせる。

「ちょっと!離しなさいよ!!このゴリラ!アンタらY地区の人間でしょ!?もう決めたから!Y地区も終わりね!?」

美那の発言に両腕を掴んでいた勇次郎さんも、私も勇太郎さんも、彼女の台詞に意味がわからず思わず思考が停止してしまう。
その一瞬の隙をついた美那は、掴まれた腕を派手に振りほどき、男性を置いて走って逃げていく。

残された四人はボーゼンとその姿をただ見る事しか出来なかった。
と、先に我に返った男性が私に話しかける。

「すみません……。お騒がせしまして。」

丁寧に深々と私達に頭を下げ、思わず私も頭を下げて謝ってしまう。

「こ、こちらこそっ!!失礼な事を言ってすみません。」

思い出してしまう例のカップルの涙を見てしまったあの瞬間。
またやってしまったと、頭を下げて顔を上げられないでいると。