視える私の見える好き


何度もLINEしては既読にならない。気付けばとっくに深夜になり、言葉通り眠れない夜を過ごしてしまった。

差し入れと言われても、占いの館の休業のお知らせは宣言通りHPに記載したが、私には学校がある。

彼らにとっては普通な事かもしれない。
だけど心配で堪らない。

悠紀くん……。
怪我してない?
ゆうま……
大丈夫なの?

もう彼らを知らない日々には戻れない。


お母さんもお父さんもまだ寝てる真夜中。
パジャマから私服に着替え、音をたてないで家からこっそりと抜け出す。

太陽がまだ顔を出す前の空の色は、夜と朝のコントラスト。一日の始まりを告げようとする音の無い光は静かに街を照らしていた。

新聞配達すら回っていない時間帯。

ひと一人、誰も歩いていない。
車一台と通らない、私一人だけ。
いつも誰かの運命の証を見て歩いてきたのに、こんなにも静寂な道を歩くのは初めてで、生まれて初めての感覚。

そして誰も居ない道の行く先は、彼らの元。

決して近くは無い距離だが、まだ太陽が昇る時間にはならない。
歩く足は、早足に。そして走って息が乱れる。

見えてきたいつもの河川敷。
そして、Y地区を結ぶ橋。何度来ても、どうしても緊張が走ってしまう。
でも今は心配の方が大きくて、また走っては彼らの姿を探す。

誰も何も無いならそれでいい。

また来たの?って笑われても良い。
馬鹿だなって笑われても良い。

Y地区に入ると、X街と同じく車一台通っていない。


だけど。
夜の大人の店が多いY地区は、酔っぱらいがフラフラ歩き、道端で寝てる人もいた。

これだけで少し怖く、Y地区の中心に行くと、以前閉まっていたシャッターのお店は半分以上開いており、女性の笑い声や男性の怒鳴り声も聞こえてくる。