「私、聞いてると思うけど、占いの仕事してて。今日来てくれたお客さんに凄く失礼な事を言っちゃって。」
「………。」
「だから、ちょっと落ち込んで、気付いたら此処に……。」
気付いたら此処に。
本当に無意識だった筈なのに。
「気付いたら俺に会いたくなっちゃったってわけ?」
「……っ!?」
そうだ。
私が悠紀くんに好意を寄せているのは多分聞いてる筈だ。
そして、今の発言で確信になってしまった。
迷惑だろう。
私なんかに好かれているなんて。
まして最初の出会いも、何度も会う私の印象も、悠紀くんにとっては迷惑以外何者でもない。
そして悠紀くんには好きな人がいる。
私なんか、出る幕すら無い。
「おい?おーい?」
「あ……ごめんなさい。」
ハッと意識が現実に戻り、何故か空気のように謝ってしまう。
「まぁ、何言ったか何が見えるか知らねーけどさ。別に良いんじゃない?」
「良くはない……です。」
「じゃあ一生引きずってんの?明日も明後日もテンション下がりっぱ?ダルいね、それ。」
気付いたら空は夜に染まり、X街から建物の光が反射しているのが見える。
「あ、やべ、母さんにパシられてんだ。俺行くわ。」
「……え。」
「何?もっと俺といたいの?」
ハハッと明らかにジョークの台詞を言った後に、X街へ歩いていく悠紀くん。
一緒にいたい。
もっと話したい、悠紀くんともっと仲良くなりたい。
「途中までいいですか。」
「どうぞご勝手に。」
彼の背中に話しかけると、こちらを見向きもしない返事。
並んではいないけど少し離れて一緒に歩く彼との距離。
不思議だね。
何でこれだけで心地好いんだろね。


