視える私の見える好き


私には弟は居ないのに、何故かもう居ないと言っていた彼のお姉さんのようになった不思議な感情。

「俺ゆうま。何かあったら大体この辺で仕事してっから。」
「私、小春。何かあったら絶対連絡して。」

お互い連絡先を交換し、今まで変わらなかった携帯のメモリーが一つ増えた。

14歳で仕事……。
聞いてはいけない事情があるのだろう。
彼の着ている半袖からは、隠しようもない火傷の跡が、無数に見えていた。


──…訳あり


最近覚えたY地区の中でよく聞く言葉が、少しだけ分かった気がした。
勇太郎さんと勇次郎さんも両親が居なくて、Y地区の養護施設で育ったと聞いている。

お父さんとお母さんがいる事は当たり前じゃないし、身内が亡くなる事も当たり前じゃない。学校に行かない、行けない人達もこの世には沢山いるんだ。

分かっている風に今まで過ごしてきたが、いざそんな事情の人を目の当たりにすると、現実は綺麗事じゃないんだと実感する。


色々な人達の事情に少しだけ増えた、恋とは違う胸が苦しくなる感情。

金髪の男の子。14歳のゆうまが、世間では恐れられている不良グループにいる意味と理由。

Y月グループは彼の居場所なのだろうか。

そんな事を勝手に考えながら、悠紀くんと美那の姿を探せないまま、Y地区を後にした。