正直その夜の世界に偏見があるというより、私は殆ど無知に等しい。
考えただけでも私には想像もつかない、大人の世界の話だ。
「あ?お前。」
あちこち看板が並ぶ、開店前なのかシャッターが閉まってるお店の前を歩いていると、悠紀くんとよく一緒にいる金髪の男の子が、携帯を触りながら日陰で涼んでいた。
「こ、こんにちわ。」
「マジでこんな所まで出没するとか。訳ありって思われても知らんぞ?」
「す、すいません。ちょっと、探し物というか、人探しというか。……すいません。」
正直この金髪の男の子は、最初から口調が怖くて今でも怖い。
「……悠紀くんなら居ねーぞ。美那とどっか行ってっから。」
「……。」
私が悠紀くんに好意を持っているのは、何だか金髪の男の子の耳にまで伝わってそうで、無性に恥ずかしくなる。
「……美那さんて、どんな人ですか?」
「あ?聞いてどうすんの?」
「……。」
眉をしかめられ、強い口調に思わずビクッとしてしまった。
……怖い。
やっぱり怖い。
「……俺は何も知らねーよ。悠紀くん、女の事になると誰にも何も言わねーから。」
「……え。」
「何回も言わせんなって。知らねーつってんの!耳わりぃの!?」
「……っ!!ご、ごめんなさい。」
金髪の男の子が大きな声で、私に詰めよってきた。
その距離と態度に怖くて、思わず涙目になってしまった。
「初めて見た時から思ってたけど、お前俺の姉ちゃんに似てる。」
「……?」


