視える私の見える好き


「いいんです。私も何か引っ掛かるので。とりあえずちょっと調べてみようと思います。」
「まぁ、困ったことあるなら俺に聞け。一応人脈はそこそこあるんだ。」

マスターさんが【そこそこ】というのは本当に人脈が有りそうで、少しゾワッとした。
正直マスターさんが本気で動けば、事が済むような気もするが、そうは言ってられない。

私の運命の人……違う。

私の好きな人の事を、私が動かなくてどうするのだ。
何もしなくても好かれる、そんな羨ましい存在になんてなれない。
せめて、彼の為に。
悠紀くんの為に動きたい。

「どんな事があっても私は悠紀くんを助けます。」

マスターさんの顔を、初めて真っ直ぐ見て言った言葉はまるで誓いのような台詞。

「……俺に言うなよ。」
「……間違えました。」

お店の中で、二人でクスクス笑う。

よし、そうと決めたらとりあえず怖いと思っていたY月グループに近づいて話を聞こうと動く。
Y地区を歩いていたら、メンバーの一人くらいはそこら辺歩いているという情報を、マスターさんから聞いて一先ずY地区を歩いてみる。

何度か歩いて気付いた事は、Y地区にはX街と違って殆どが住宅街ということ。

コンビニすらあまり見ないし、大きな娯楽施設が無いといっても過言ではない。

Y地区に近づくな

周辺を見渡すと、その意味が段々と分かってきた事は。

【120分 今なら○円!】
【若い子だけ!60分◯円】

あちこちに小さな看板が、建物の前に立っているのが目につく。
未成年が足を踏み入れちゃいけない、夜の仕事場が多い地区だということを改めて知った。