二人の並んでいる姿を別の意味で見たくなく、この女性から視線を外してしまう。
「おい、何か顔色悪いけど大丈夫か?」
「あ……いえ、はい。」
素直に言えば気持ち悪い。
もっと本音で言えば、この人から離れた方が良いと教えてやりたい。
派手なリップをした【美那】という女性は、ねぇ!もう早く行こう!と少し怒り気味に悠紀くんに催促している。
「……あ、あぁ。なぁ、具合悪かったらちゃんと休めよ?」
「……はい。」
「悠紀!!」
分かったってと、二人は私を置いてそのままY地区の街に消えていった。
あの人の胸から滴り落ちた黒い滴は、コンクリートに染みていくように消えていく。
なんで……あの人と悠紀くんが。
そして、マスターの話も気になる。
悠紀くんが騙されているんじゃないかと心配になり、そしてずっと胸騒ぎがする。
かといって、私が出来ることなんて一つも無い。
私は【見える】事しか出来ないのだ。
そして、あの美那の【見えない】存在はどれ程恐ろしいものなのか、悠紀くんに話した所で伝わる筈もない。
それに彼の好きな人の事を悪く言うことにもなる。
言えない。
とてもじゃないけど。
少しだけ落ち着いてきた呼吸に、長く深い深呼吸する。
このままだと、悠紀くんが不幸になる。
そんなの絶対させるもんか。


