視える私の見える好き


飲み干した麦茶。

溶けて小さくなった氷を見ながら、誉められた言葉を噛み締める。

見た目を変えて良かったかもしれない。
だけど、勿論中身は変わっていない。


可愛くなった


嬉しくない訳がない。だけど、所詮元の顔が変わるわけじゃないのは当たり前で、性格が強くなるわけでもない。

自信が持てないのはいつものことで、人見知りも言葉一つで落ち込んでしまうのも、小さな頃から。

シルクのベールを被りながらじゃないと出来ない占い。
素顔で接客なんて、考えただけでも逃げ出したくなる。

「ごちそうさまでした。また来ます。」





胸に光る運命の文字が正確なのかは、神様だけしか知らない。


確かなことはまだ一つ。
好きになった気持ちは止められない。


外に出てフワッと涼しい風を肌で感じたと思った瞬間に、胸の文字が強く光る。


「……まだいたの?」

右の歩道から歩いてくる



好きな人の……声。



「ご、ごめんなさい。いました。」
「マスターも暇だからってさ。」

後頭部をポリポリかきながら、先ほどと同様、少し苛立っているオーラを感じる。

そんなに私の事が好きじゃないのかな…。
私を見ただけで、不快になるレベルまで嫌われてる?

考えたくもない悠紀くんの苛立ちの理由が沢山出てきて、苦しいドキドキが止まらない。だけど、その苦しいドキドキが更に激しくなる出来事が起こる。





「悠紀ー!!!」
「は?美那(みな)?今日来れないって言ってたじゃん。」




悠紀くんの好きな人が私の前に現れる。