視える私の見える好き


「なぁ悠紀、面白い話聞いたぜ。X街で変な占い師がいるんだってよ。」
「……ぅぅ。」

Y月グループのメンバーが、先ほど喧嘩を売ってきては返り討ちしたチンピラの背中に座りながら悠紀に話しかける。

「はっ占い!?何それ、アホくさ。貴方には死相が見えてますって言われんの?死相の顔ならそこら辺に歩いてるってな。」

「いや、それが恋占いなんだって。俺も彼女欲しいから見てもらいたいなぁ。」
「……ぃてぇぇ。」
「うるせー座布団だなぁ。バラバラにしててめぇの事務所にぶち込むぞコラ。」


悠紀が【恋占い】など、人生で一度も口に出したことがない言葉に更に興味を無くし、ポケットからスマホを取り出してはメンバーの話を聞き流す。

「そろそろ仕事行くぞ。」
「うーい。おいコラ、二度と俺らに声かけんなよ、次会ったらコロすからな。」
「……ぅぅう。」





悠紀とメンバー達の【仕事】は様々であり、飲食店の皿洗いから客の呼び込み、借金の取り立てに、用心棒。

顔馴染みで病気がちのホームレスのご飯を買ってきてあげるのも【仕事】の一つだ。

Y地区でこの不良グループ、むしろ悠紀を知らない者は居ないが、それはこのX街でもしれ渡る勢いだった。




変な占い師

尾びれ背びれも無い噂通りの占い師は今日もまた、頭からパープル色のシルクのベールを頭から被り、目だけを出し、彼女にしか見えない浮かび上がる文字を、来店されたお客に真実を伝えていく。