お店の引き戸は開けたまま。
外の空気がお店の中にフワッと外の匂いが入ってくる。
「ただ……悠紀の好きな女、何か気に入らねーんだよな。」
「……え?」
「声をかけられて嫌がっていた所を悠紀が助けたんだけど、その場を離れたあとにその女、声をかけた男に裏で金を出してたんだよな。悠紀に言っても信じねーし、むしろその声をかけた男もY地区で見たことねーんだよ。」
「おかしい、ですよね。」
「おかしい以外ねーよな。でも見た目がまた良い女だから悠紀も珍しく熱あげてるし。」
「……。」
気付けば喉が乾いていたことに気付き、麦茶をゴクッと一口飲む。
「俺としては別に悠紀がハメられようが知ったこっちゃねーんだけど、やっぱり気になるから調べたらX街で、割りとデカイ会社の社長の娘でさ。もうサッパリ意味わかんねーわ。」
マスターさんが、タバコに火をつけてフーッと煙を吐く。
私じゃなくてもこんな話おかしいと思うし、マスターさんが知ったこっちゃないと言うが、恐らく心配なんだろう。
ただ私がその女性を見たからといって、何か出来るかと言ったら思い付かない。
友達も人脈もない。
私の特殊能力は所詮恋占いだ。
何も思い付かず、うぅ~んと頭を抱える。
その悩む私の姿を見ていたマスターさんが、口から吐く煙と一緒にハハッと笑う。
「恋する乙女も大変だな。まぁ頑張れよ。」
「はい。」
「そういえば心春ちゃん、前より可愛くなったな。俺、お世辞言わねーから本当だぞ。」


