視える私の見える好き


「元気ないな?さっき悠紀達とすれ違ったけど、何か言われたのか?」
「……。」
「ハハッ図星か。まぁ悠紀の性格上黙ってられないしな。」
「……。」

黙っていたら不快にさせると言われたばかりなのに、結局さっきと同じように、何も言えない自分がいて、またしても胃がキリッと苦しくなる。

「仕事探してる訳じゃねーぞって言ったのは俺だから、少し責任感じるな。悪かったな。」

気付いたらお店の目の前。
マスターさんがお店の前でガチャガチャと鍵をさして、ガラガラと引き戸を開ける。

「何か飲むか?って言っても麦茶しかねーけど。」
「……大丈夫です。」

お店の裏にある冷蔵庫に、カゴに入っていた食材を入れながら、私に声をかけてくれる。

何も喉を通らない。

なんなら声すら出なくなってしまうんじゃないかと思うほどの息苦しさ。
こんなにもさっきの言葉で引きずる自分が弱くて嫌になる。

「まぁそこ座れよ。」

断った筈の麦茶が、小さなコップに氷を入れてカウンターに置いてくれる。

とりあえず言われた通りにカウンターに腰を降ろし、つい顔を俯いてしまう。

「さっきの話に戻るけど、前に悠紀が此処に来た時アンタを気にかけてたんだ。【訳あり】か?ってね。」
「……。」
「まぁ色んな理由で此処に逃げてくる奴らが多いから。悠紀のグループもいわゆる【訳あり】の集まりだしな。喧嘩っ早いけど、アイツら仲間思いだからアンタの事も心配だったんだろ。」
「……そうなんですね。」