視える私の見える好き



もう来んなよ

自業自得

うざ


前髪で隠れても見える眉間にシワを寄せ、明らかに冷たい視線。



苦しい、恥ずかしい。
ごめんなさい、悠紀くん。




胸に浮かび上がっている特殊な文字が優しく光っている。掴もうと何度も触ろうとしても透けて掴めない。
それはまるで、悠紀くんとの距離のようだ。

悠紀くんに浮かび上がっている文字が同じじゃなければ、こんな想いなんてしなかったのかな。

文字が違ったら悠紀くんの事好きにならなかったのかな?

出る筈のない答え。
ねぇお母さん。神様からの贈り物なんて、私こんな能力望んでなかったよ。

だって私、運命の相手の悠紀くんに好かれてないの。
好かれる方法なんて知らない。自然に相思相愛になれると思っていたくらいなんだよ。

どうしたらいいの?


「あれ?」
「……。」

未だに動けず、歩道の隅で立ち止まっている私に、聞いたことある声が聞こえてゆっくりと振り向く。

「ま、マスターさん。」
「おう、心春ちゃんだっけ?勇太郎達から名前聞いておいたんだ。」

マスターさんが買い出しに行ってきたのか、甚平姿に、食材が沢山入っているカゴを持っていた。

「……。」
「日差し強いから店来るか?まだ店も準備中だから客も来ないし。」
「……はい、すいません。」

胸元が空いた甚平から少しだけ刺青が見えているが、刺青は勇太郎さんと勇次郎さんで見慣れたお陰がそこまで怖くなく、マスターの後ろを歩いてお店に向かう。