視える私の見える好き


壁にかけている時計を見るとお昼近く。マスターが、

「そろそろガラの悪い客も来るからアンタはそろそろ帰った方がいいぞ。話をしたいならまた店に来いよ。その代わり学校の制服で来るのは止めておいた方がいい。アンタを商品だと思う奴らもいるのは覚えておけ。」

と、助言をしてくれた。私は引戸のドアを開けて、頭を下げるとマスターが帰り際に今までで一番優しい顔で

「今度俺も占ってくれよな。」

と、穏やかな表情で見送ってくれた。


外に出ると太陽の日差しがカンカンと照りだされ、思わず目を細める。

そして、忘れてはいけない現実に細めた目は今度はしっかりと閉じる。


アイツ、好きな女いるぞ?


そうなんだ。
私の運命の相手には好きな人がいるらしい。
彼とは出会ったばかり。なのに一瞬にして心を奪われた。

姿形、声を思い出しただけで胸が苦しくなる感情。
好きな人がいると知って、更に胸が苦しい。

あぁこれが、

恋と呼ぶものなのか。


私、好きな人が出来たんだ。
だけど、好きな人には好きな人がいるんだ。

いくら運命の相手が私といえども、彼の心にまだ入り込めない。


「お!女子高生じゃね?」
「おじさんと遊ぶか?」

遠くで男性数人の声が聞こえて、思わずダッシュで逃げる。一先ずX街に戻り、自分の店で休むことにした。

どっちみち学校はサボってしまった。

気を紛らわす為にタロットカードを広げて心を静める。