「彼って……悠紀のことか?」
「……はい。」
「確かに、アイツがアンタみたいなタイプを連れてくるのは珍しいなとは思ったけど。でも。」
マスターがクスッと笑って話を続ける。次に話されるその言葉に思わず息が詰まる感覚。
「アイツ、好きな女いるぞ?」
好きな……女。
思ってもいなかった存在。
確かに運命の文字が一致していない恋人や夫婦はそこら辺にいるのは、私がよく知ってる事実だ。
それで悩んで苦労して上手くいかないのも知っている。
運命の相手と出逢えること自体【奇跡】に近いのだから。
「アンタが悠紀のことを好意を寄せるのは勝手だが、あんまり深入りしない方が良い。元々ここらの地区の住人は訳アリが多いからな。」
「……。」
「まぁ、愛だの恋だの夢中になる時もわかるけどな。」
マスターがチラッと壁にかけている写真に目線を送った。
私の能力はテレビや雑誌、携帯に映っている人物でも特殊な文字が見える。
マスターの浮かび上がる文字と、写真に写っている若くて綺麗な女性との文字が一致していた。
「奥さん…ですか?」
「コイツ?いやいや、昔の仲間ってゆうか。まぁ、色々な。」
「でも……マスターさんの、その……。」
運命の文字が同じですよと言った所で、気味悪がられるかなと言葉が詰まる。
「コイツが元気ならそれでいいよ。」
「……。」
詳しくは聞けない。
「興味本位で人の事情を深く踏み込んではいけない。」
お母さんが言っていたのを、ふと思い出す。


