視える私の見える好き


「俺、アイツらの所戻るからその眼鏡ちゃん頼むよ。」
「えっ……。」
「じゃあな眼鏡ちゃん。あんまりその制服でここ彷徨くなよ。」


あっという間に、引戸のドアを開けては外に出ていってしまった悠紀くん。

残された私とマスター。いくら昼間と言えども日陰の室内はうっすら暗くて、男の人と二人っきりにされて不安になってしまう。

「名前は?」
「え……。」

突然聞かれた名前に、素直に本名を言っていいのかわからなくて戸惑う。

「ハハッ。怖がらなくていいよ。勇太郎と勇次郎が世話になってるね。」
「……。」
「こんな店でも仕入れはX街でキチンと揃えるんだ。たまたまX街で勇太郎達がアンタと店から出て話してるのを見たことがある。占い、だっけ?」
「……はい。」

消したと思ったらまた直ぐにタバコをつけるマスター。

「アイツら見た目あぁだし、生まれも育ちもY地区だから周りからは偏見されがちだけど、良い奴らなんだ。ありがとうな。」
「い、いえ。そんな…。」
「でも何で占い師がこんなところほっつき歩いてるんだ?正直治安が良いとは言えないのは知ってるだろ?」
「………。」

眼鏡をかけて、黒くて長い、重たい髪の毛。いかにも地味な私をすんなり【占い師】と受け入れてくれるマスターの(ふところ)の広さに、思わず心を許してしまう。

「導かれたんだと思います。私と彼の……運命の証に。」

頭がおかしいと思われても仕方のない言葉でも、マスターは顔色変えずに黙って聞いている。