彼らは私のことなんて気にもせずに背中を向けて歩いてしまう。
お礼を言わなきゃ……。
というかせっかく会えたのに。
「………。」
声をかけられない。さっきまでの恐怖心が未だに取れず、尚且つ人見知りのコンボで余計に声が出ない。喉が閉じてしまったかのように、息苦しさも加わる。
待って、待ってください……。
心の中でしか言えない。
「……?なに。」
背中を向けていた筈の悠紀くんが突然こちらを振り向く。
周りにいた金髪の男の子も、太った男の子もビックリしている。
「え?何が?」
「俺たち何も言ってないっすよ?」
「あれ?おかしいな?何か待ってって声が聞こえたんだけど。」
それは多分、私の心の声だ。
悠紀くんにだけ届いたのかな。
彼は伸びた前髪の隙間から私の姿を見て、一瞬だけ目が合う。
あぁ、やっぱり。
本当に私と同じ文字が浮かんでいる。これが見たくてここまで来たんだよ。
「た、助けて、くれて……ありがとうございます。」
勇気を振り絞って出したお礼の言葉。
だけど彼らは特に何も顔色を変えずに、あぁ、まぁ。と、素っ気ない態度のままだった。
だけどこれ以上の言葉が見つからない。「貴方の運命の相手は私です!」なんてそんな事を言ったら頭がおかしいとしか思われない。
悔しい。なんでこんなに自分を出せないんだろう。
下を向いて制服のスカートの丈をギュッと掴んでいたら、まさかの悠紀くんから声をかけられる。


