視える私の見える好き


今まで道すら聞かれた事のない私が、ハァハァと息が荒くなっているおじさんに声をかけられて、身体が固まってしまう。

「……誰か。」

振り絞る声を上げてみたけど、それは風の音でかきけされる程の小さな声量。
とうとう腕を捕まれ、更に身体が固まってしまった時に、


「何してんの。」
「はぁ?俺の見つけた……うっっ!」

捕まれた腕を離され、怖くて目を瞑っていた私はそのやり取りに、ゆっくりと目を開けて確認する。


「もう一度聞くけどミカン爺、何してんのって聞いてるんだけど。」
「いや、ハハッ。何か困ってる女の子いたから助けようとしてよ。ハハッ。さぁて仕事戻るわぁ。」
「してねーだろ仕事。その薄い髪の毛全部引きちぎってやろうか?ミカンの筋みたいな頭しやがって。」


声をかけたおじさんはヨロヨロしながら、この場を去っていった。

そして──。




私を助けてくれたのはさっき学校で見た男の子達。Y月グループだ。


「悠紀くん。後でマスターが店に顔出せって言ってたよ。」
「あぁ?また?俺何かしたっけ?」


悠紀……くん。

私と同じ、運命の文字が同じ相手だ。
こんなに至近距離で見ると、教室で起きた胸の高鳴りがまた強く鳴るのを感じて、思わず胸元の制服をギュッと握る。


白いロンTにボロボロのデニム。くせっ毛なのか少しウェーブがかかった前髪で、ほとんど目を隠していてもわかる整っている顔立ち。

ロンT一枚だけしか着ていないのか、細い身体なのに筋肉質なのがわかる。