「結局何だったんだろね?」
「今同じクラスのお姉ちゃんにLINEで聞いてみたけど、その人Y月グループの名前使って悪いことしてたらしいよ。」
「はぁ?自業自得?ウケる。」
「でもそれで学校まで乗り込んで来るとかさ、やっぱり普通じゃないよね。」




【普通じゃない】

何が普通じゃないの?
ここに本物の【普通じゃない】人がいるんだけど。

皆には普通見えないモノが私には見えているよ?

突然重なる彼らの存在と自分の存在。沸き起こる興味本位とリーダーへの好奇心が出たのは、私の運命の相手を見つけてしまったからだ。

10分前とは違う感情に驚きは隠せない。
だけど知っている。




定められた運命の相手とは必ず結ばれる。


胸の高鳴りが治まりそうに無い。
遠い距離で見えたリーダーの小さな姿でも、全く頭から焼き付いて離れない。


Y月グループの悠紀くん。


悠紀くんの相手、私だって。

こんな私なんかが、運命の相手でごめんね。




止められない感情は恋なのか、本能なのか。身体全部が彼に近づいてみたくて、頭から胸から、手や足が。

彼に近づいてみたくて堪らない。


仕事道具が入った通学用のリュックを持って席を立つ。
私が教室から出ていっても、いつものように誰一人、私の存在に気付かれることもなくこちらを見ていなかった。