先輩のこと、好きになってもいいですか?



リビングに戻り、既に完璧に用意されていた3人分のお弁当箱と朝食。

お母さんは早朝だというのに髪型もメイクもばっちりとキマッていて、さらにはわたしたち3人のことに関しても気を回してくれていた。


何でも要領よくやれて、どこまでも完璧なお母さんをぜひとも見習いたい。

そんなことを思った朝だった。


  *


自転車で芽衣のことを幼稚園に送り届けて、わたしは学校へと向かう。

今日はいつもと違ってお母さんがいないせいかドタバタな朝だった。


顔を洗ったり歯を磨いたり、制服に着替えたり髪を整えたりしていると、あっという間に2人を起こす時間。


朝7時に2階へ上がり、約10分間の間お父さんと芽衣の「あと5分だけ寝かせて……」に付き合わされ、それだけで疲れてしまった。


毎日これをしているお母さんは本当にすごい。


顔を洗って歯を磨き終えた2人がリビングにやって来たら、食卓に並べていた朝食の前でみんな揃って手を合わせ、「いただきます」で食べ始めた。


食べ終わって食器を食洗機の中に入れたら、お父さんはスーツに着替えて会社へ、わたしは芽衣を幼稚園へ、それぞれの行くべき場所に向かって家を出た。