「───…べ!」
それと共にどこからか誰かの叫ぶ声が聞こえてくる。
その声の主が近くなるごとに、まるで「美辺」と自分のことを言われているような気がしてならない。
「みな──…美辺っ!!」
「……っ、!?」
誰かに肩を掴まれた。
わたしはもう分かっていた。
あの声の主が、和泉先輩だということを。
だって、今でもまだ大好きな人の声を、忘れられるわけないでしょ?
「美辺っ、おれ……っ、美辺に言わなきゃいけないことがあるんだ」
激しく肩を上下させ、俯いて苦しそうにそう告げた先輩からすぐに目を逸らしたくなる。
おかしい、今までのわたしなら先輩から目を逸らすことなんてなかったのに。
「わ、わたしは……っ、聞きたくないです」
どうせ嫌なことを言うんでしょ?
また何の理由もなくわたしを突き放そうとするんでしょ?
「……っ、お願いだ美辺。おれ、こんな気持ちになれたの美辺が初めてで、ほんと、どうしていいか分からないんだけど、」



