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空を見上げると、世界は怖いくらいに晴れていた。
今のわたしの沈んだ気分とは正反対で、ここからあそこまで浮上できる気がしない。
理由も分からないまま先輩と仲違いして終わり、それからずっと入り浸ったもう使われない美術室で白月先輩が絵を描く姿をぼんやりと見つめ、そして最後はその絵も儚く散ってしまった。
掬われるべき才能を、審査員たちは取りこぼしてしまった。
学校からの帰り道、わたしはトボトボと重い足取りで寂れた公園に入った。
ベンチに座り、一息つくとこれまでのことが一気に走馬灯のように流れ込んでくる。
──『好きになるだけなら、いいよ』
先輩に告白まがいなことをした日、先輩はこう言っていた。
……何か暗いものを秘めた、意味深な表情で。
「先輩にとって、わたしは迷惑な存在でしかなかったのかな……」
そう、ぽつりと呟く。
1度零れた哀惜の念に堪えるのはあまりに難しい。
どこからか吹いてきた生ぬるい風がわたしの頬を撫でる。



