「そうだね、どうしてだろう。あの絵はコンテストに落ちたけど、あの絵を描いたおかげでゆうちゃんに俺の好きなことを知ってもらえた。今まで誰にも気づかれないまま描き続けていたんだ」
「だけど、心の中ではいつも誰かに俺の絵を見つけてもらいたいって思ってた。俺はずっと、ゆうちゃんみたいな子が現れるのを待ってたんだ。だから、ゆうちゃんのその言葉だけでどうしようもないくらい心が満たされる」
「……っ」
そこまで言われたら、全く言い返せない。
先輩の気遣いが今はありがた迷惑で、痛くて、苦しかった。
わたしばかり泣いているから、先輩は泣けないんだろう。
最後の涙が、頬を伝う。
今まで涙が枯れるほど泣いていたせいか、目が赤く腫れているような気がする。
おれは、
わたしは、
今、悲しみの淵にいる。
どうにもできないこの感情を、どう手放せばいいというのか。



