先輩のこと、好きになってもいいですか?



朝食を食卓に並べ終わるのとほぼ同時に、芽衣を抱きかかえたお父さんが寝ぼけた顔をして入ってきた。


「あ、お父さんおはよう。あと芽衣も」

「うーん、おはよ~……」


目を擦りながらおぼつかない足取りで席に着いたお父さん。


「お母さん、まだ寝てる?」

「ああ、今日は寝させてあげようと思ってね。お父さん、今日有休をとったから芽衣もこのまま家で過ごさせるよ」


「そっか、じゃあ送迎は必要ないんだね」

「うん、そういうことになるな」


お父さんはいただきますと手を合わせ、芽衣に朝食を食べるよう促してからトーストを手に取った。

わたしも勢いよく大好物のコンスープにたっぷりとひたしたトーストにかぶりついた。


制服に着替え、髪を高い位置で結ってから家を出た。

外は相変わらずの土砂降りで、思わず傘を手に立ち止まる。


あまりの勢いに少しひるんでしまったけど、行かなきゃ。


出来る限り靴下を濡らさない歩き方で学校へ向かった。