芽衣は人の痛みに敏感な子だから、怪我した姿とかをあまり見せたくないんだ。
ただでさえお母さんがいなくて不安なはずなのに、さらに心配させるようなことしてどうする。
ハンバーグを次々と焼いていくうちに、家の中が物凄くいい香りに包まれる。
仕事から帰ってきたお父さんが、思わず鼻をくんくんとさせた。
「ああ、とってもいい香りだね。もしかして今日の夕飯はハンバーグ?」
「お父さん、おかえり。そう、今日は芽衣の大好きなハンバーグ!」
自分の名前が聞こえたのか、芽衣がこちらに駆け寄ってくる。
お父さんに抱きついて、嬉しそうにハンバーグを焼いているフライパンを指差した。
「芽衣〜、良かったなあ! 今日はお前の大好物だって! ゆう姉ちゃんにはありがとうって言ったのか?」
「…ぁ! まややった! おねえたんっ、ハンバグつくってくれて、ありがとっ」
まだ慣れない日本語を一生懸命に話して、感謝の気持ちを伝えてくれる芽衣が可愛すぎて、「いいのよお」と言いながら芽衣を抱きしめ、頬をすりすりした。
小さな子のほっぺたはどうしてこんなにもちもちで柔らかいんだろう。
ずっと触れていたいけど、早くお夕飯を食べなきゃね。



