先輩のこと、好きになってもいいですか?



「……、それにしても、芽衣のお迎えまでだなんて、お母さんは一体いつ帰って来るの?」

「ああ、えっとね。お母さん、実は東京に行かないといけなくて」

「ええ⁉ そうなんだ……、ってもしかして、大きな仕事っていうのは絵画関係の……?」

「ふふ、やっぱりバレちゃったか。そうよ、名のあるイラストレーターさん方と交流の機会をいただけてね。その中の一人に、私の描いた絵を直接見たいと言ってくださった方がいたのよ」

「わあ、そうなんだ! それはすごく嬉しいことだねお母さんっ!」

「ええ、本当にありがたいわ」


わたしのお母さんは世界でも人気のある絵師だ。


お母さんの方が格段にすごくて、人気があって、名のあるイラストレーターなのに、こうして他のイラストレータ―さんを敬った発言をする。そして、いつだって礼儀に欠けない。


そんなお母さんを、わたしはとても尊敬している。


昔から、私が駄々をこねて頼んだ好きなアニメのキャラクターや美味しそうなスイーツの絵を描いてくれたお母さん。

それらの絵は今でも大切にわたしの部屋に保管したり、部屋の壁に飾ったりしている。

SNS総フォロワー数400万人を超える超人気イラストレーター。

そんなお母さんの仕事場であるアトリエは想像を絶するほどに素敵だ。