おれは彼女に何を期待していたのだろう。
彼女はきっと、妹を迎えに来た帰りで、今すぐに家に帰るところなのだろう。
きっとやるべきこともたくさんあるだろう。
……それなのに。
“おれに使う時間はたったそれっぽっちなのか”と訊かずにはいられない。
ただのわがままだって分かってる。もっと自分と話していてほしい、だなんて。
そこには己の欲望しかない。
彼女に告白のようなことを言われたあの日、すぐにその瞳に吸い込まれた。
まるでおれを映すためだけにあると言わんばかりの目。
おれしか見えない、おれでいっぱいなんだと訴えかけてくる芯のような何かを、彼女は持っていた。
──それなのに。
「……今のお前は、なんか、違う」
それを言った瞬間、しまったと思った。
思わず彼女に視線をやるも、そこには特にさっきまでと変わらない、困り顔があるだけだった。
そのことに、がっくりとうなだれる。



