名も知れないイライラが募る。
別に美辺に対して怒ってるわけじゃない。おれは自分に対して怒っている。
なぜ一緒に昼食をとろうと言わなかったのか。
なぜ帰りは一緒に帰ろうと言わなかったのか。
それを言ってさえいれば、おれは美辺との時間を過ごせたはずなのに。
「……はあ」
あんなにキラキラとした目をしておれを見つめてきたくせに、自分からはあまり近づいてこない。
おれは美辺の積極的なところに興味を引かれたというのに、まるでその姿はない。
「……あ、ラインも交換してねえや」
そう呟き、小さなため息を零す。
次に会った時に、必ず交換しよう。おれは心の中で強く自分に言い聞かせた。
*
放課後の駅はかなり混んでいた。
帰宅ラッシュの時間帯だ。スーツを着た多くのサラリーマンたちが行き交っている。
みんな、焦っている風でもないのに物凄い早足でどこかへ向かって去っていく。



