高柳先生が部屋の中へ戻り、芽衣を起こして連れてきてくれた。
寝ぼけ眼の芽衣はわたしを見た途端、顔を輝かせる。
「おねえたん……っ!」
芽衣の小さくて短い腕がわたしの腰にぎゅうっと回る。
後ろまで回りきらない短い腕がとてつもなくわたしの母性本能をくすぐってくる。
「あはは、芽衣、迎えお姉ちゃんでも良かった?」
「あえ? ママは?」
「ママはね、今日ちょっとだけ忙しくて、帰ってこられないの。その代わり、今日はお姉ちゃんといっぱい楽しいことしよう!」
芽衣はきっと、朝にお母さんの姿が見えなかったのが不安で、泣いてしまったのだと思う。
わたしやお母さん、お父さんにまで感情を見せない芽衣のことだから、きっとずっと耐えていたのだろう。
まだ、3歳なのに……。
「うん……わあった」
分かった。
芽衣はそう言った。小さな頬に少しの寂しさの色が浮かんでいる。
「それじゃあ先生、今日も芽衣をありがとうございました」



