この希望ヶ丘幼稚園の生徒からも絶大な人気を誇る先生だと、前にお母さんから聞いたことがある。
「あ、こんにちは。芽衣、いますか? 迎えに来たんですけど……」
「あら、そうなのね。芽衣ちゃんなら今泣き疲れて眠っているの」
どうしたのかしらねえ、と顎に手を添えてそう言う高柳先生。
そこには心配の色が浮かんでいる。
「そうなんですか……」
芽衣、泣いたんだ。
いつも自分の感情を表に出さない芽衣が珍しい。
と言っても、心の内にはいつも寂しさを抱えているのだろうけれど。
3歳の芽衣には、芽衣なりの気持ちがあるのだろう。
「ええ、少し心配ね。何か悲しいことがあったとかじゃなければいいんだけど……」
先生は眉を八の字に曲げている。
今日、芽衣の大好物を作るのは大正解だったのかも。
芽衣の喜ぶ笑顔が見られるのなら、わたしはそれだけで満足だ。



