「そうなんだ。すごいなあ、苗字にそんな素敵な感じが入っているなんて」
「ふふっ、何言ってるんですか先輩。白月先輩の苗字の漢字だって、とっても素敵じゃないですか」
「え!? 僕の苗字の漢字、知ってるの?」
「え、あれですよね。白に月で白月じゃないんですか?」
「わわ、そうだよ! 君ってすごい! 漢字を予想できるなんて!」
先輩は興奮したようにそう言った。
そ、そこまで驚くことかな……?
あくまで、一般的にはこうだろうという見解を述べただけなのに、ここまで褒めてもらって良いのだろうか。
先輩は未だに目をキラキラとさせながらわたしに視線を送ってくる。
穢れなきその視線に、なぜか分からないけれど少しの罪悪感さえ抱いてしまう。
「わ、わたしはただ……こうかな〜っていう前からの知識を使っただけで、わたしがすごいという訳ではなくてですね……」
まとまりのない言い訳を続けるわたしに、白月先輩の首がだんだんと傾いていく。



