「はい……! そうです」
「ふふ、じゃあ僕が君の先輩だ」
先輩は嬉しそうに口に手を添え上品に笑った。
彼の落ち着いた話し声だとか、知的さを感じさせる黒縁の丸眼鏡、そして色白で綺麗な小顔にすぐに好印象を抱いた。
女のわたしよりも小さいんじゃないかというほどに小顔で整った容姿をしている彼。
和泉先輩とは雰囲気が違えど、2人は十分隣に並ぶほどに綺麗な容姿をしていると素直に思った。
彼からしたら、そんなことを他人のわたしが言ったりしたら不愉快な感情しか抱けないだろうけれど。
だけど、心の中で思うくらいは許してほしい。
だって、どうしたって考えちゃうんだから。
………和泉先輩の、こと。
「気遣っていただいて、ありがとうございます。ここ、絵の具のにおいとか木のにおいとかがして、素敵ですよね」
「ええ、絵の具のにおいって、それって良いの?」
「はい、わたしにとっては良いです! それに、この喧騒から遠ざかった静かな空間が何とも素敵で……」



