やばい、先輩、すごく怒ってる……!
なんで!?
そこは普通喜ぶものじゃないの!?
「おれ、許さないよ。お前から近づいてきたくせに、すぐに離れていくなんて。そんなの絶ゆるさない」
何だろう、先輩が何を考えているのか、今が1番よく分からない。
まるでさっぱりだ。
だからその言葉にどう返事をすれば良いのかも分からなくて、わたしはすっかり困ってしまって両眉を下げた。
「先輩、これってもしかして、どこかからみんなが見てる的なやつですか……? みんなでわたしを騙して、からかうつもりですよね!」
わたし、我ながら良い返事を思いついた。
これは正解だろうと自信満々にそう言ったのだけど、先輩の顔はさらに険しくなる。
ただでさえ厳しい顔をしていたものだから、今の先輩は般若のようにすら見える。
綺麗な容姿の先輩にそんなたとえをするなんて失礼にも程があると分かっているけれど。



