だが、ここは社会人として礼儀をわきまえ、失礼のないように話をした。食事の最後にはっきりと付け加えた。

「社長、京香さんに問題はなにひとつありません。素敵なお嬢様だと思います。ただ私の相手には若すぎます。彼女もこんなおじさんはかわいそうです。申し訳ありませんがそういうのは……」

「京香、並木君はおじさんかい?」

「いいえ。お話してみたらとても優しいし、お若く見えます。おじさんには思えません」

「並木君。とりあえず付き合ってみるというのはどうだろう?うちの娘だってすぐにフラれるのは納得できないと思うんだ」

「社長、私にはお付き合いしている人が……」

「ああ、川村さんのことかい?彼女のことは北野さんからやめる前に色々聞いている。縁談があった君たちの横入りをして邪魔をしたそうだね」