「お父様……!!」



扉を開いた先にいたのは───。



「おい蓬、お客様に失礼だろう。礼儀良くしなさい」

「も、申し訳ありません……。あ、あの、その人は……」



母親、父親、そして橙華が座っている目の前に座っていたのは───。



「はじめまして。蓬さん、かな?」

「っ……」



きっと40を過ぎているだろう、おじさん。



「あ、あのお父様、この方は……」



この予感は、違うよね?

ねぇ、和葉───。



「はじめまして、蓬さん。ワタシは桜小路白斗(さくらこうじ はくと)

───橙華さんの婚約者だよ」



ああ、なんでこうなってしまうんだろう。

ねぇ、神様。

橙華は何もしてないのに。

たしかに私は、人を欺いてきた。

それなら、私でいいでしょ?

なんで、橙華が……っ。