「ただいま帰りました」
タクシーを使って家に帰った。
「蓬様、お帰りなさいませ」
「あっ、和葉。久しぶり」
出迎えは和葉がしてくれた、けど───。
「か、和葉……?」
和葉が今にも泣きそうな顔に、私は顔をしかめた。
いったい、何が……。
「蓬様……!」
「えっ、なに?」
和葉がバッと頭を下げてきて、頭は混乱状態になった。
「申し訳ありません……!! 蓬様の頑張りを無駄にしてしまい……っ!」
「え、どうしたの? っ、ま、さか……」
最悪の事態が、脳裏を過ぎった。
和葉がこんな表情で謝ってくる理由。
そして、この家の中のピリつき具合。
「旦那様が、応接間に来いと……」
「っ……!?」
私は泣きそうな和葉を置いて、応接間に走った。



