「なんだか、家に帰ってきてくれとのことでした。この前行ったばかりなのに」

「は? いや、それ行くつもりか?」



翠さんはあらかさまに嫌そうな顔をした。



「もちろん行きます。翠さんは来なくていいとのことだったので、私だけ今から行きます」

「それ大丈夫なのか?」

「大丈夫ですよ」



心配してくる翠さんの顔が見られない……。

私が一人モジモジしていると、翠さんは何かを取り出した。



「じゃあ、これ付けて行って」

「……なんですか? これ……」



腕に付けられたブレスレット。

そこに輝く、小さな……。



「こ、これって宝石じゃないですか! なんでこんなに高価な物をしれっと……」



付いている小さな石は、青紫色。

これって……私の誕生日石のタンザナイト?



「んー、あとで渡そーと思ってたんだど。まあ男避け? そーゆーこと」

「いや、何が“そういうこと”なのかわからないんですけど!」



でも時間が迫ってるし……と悩み、あとで返すことにした。



「じゃあとりあえず付けて行っちゃいますよ? 行ってきます」

「お土産なんか買ってきてね〜」

「うちの家は旅行先じゃありません!」



翠さんと最後まで言い合いをして、生徒会室を出た。