《おお、蓬か》

「……お父様?」

「蓬?」



なんでまた、父親が……?

翠さんは“お父様”という言葉を聞いて眉を寄せた。



「お父様、こんな朝からなんですか?」

《ああ、実は今日大事な話があってな。学校を休んで来てくれないか?》

「え……?」



あの父親から“学校を休め”なんて言葉が出るなんた。

───嫌な予感がした。



「わかり、ました……。翠さんも連れていきますか?」

《いや、翠君はいい。まあ、後日知らせるだけでいい》

「……わかりました」



電話を切り、考え込んだ。

大事な話……?

まさか、橙華のこと……?



「蓬、なんだった?」



翠さんは資料を手に取りながら聞いてきた。