「蓬、おはよ」
「お、おはよう、ございます……」
風邪が治ってから、翠さんの態度が変わった。
「あーもう、なんでこんなに可愛いんだろ」
「ちょっ、くっつかないでください……!」
夜は一緒に寝て、朝は絶対私の顔を見ている。
私は……。
「でも蓬、俺のこと好きでしょ」
「す、好きじゃありません……!」
私は、翠さんを直視できないでいた。
翠さんが、好きで。
でも、言えなくて。
それがむず痒がった。
「ご飯作るんで、あっち行ってください」
「えー! 蓬の手料理食えんの? やった、最高だわ俺の嫁」
「翠さんと結婚してません」
「わーお。冷たいとこもかわいー」
朝ご飯を作っているときだって、ぎゅうっと抱きついてくる。
迷惑なはずなのに、翠さんの手を振り払おうとは思わない。
「でもこうやって少しでも心許してくれただけで嬉しい」



