腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

「たくさん、弱音吐いても。“辛い”って、泣いたっていいから」

「翠さん……っ」



どうしてこの人は───

私に、優しさをくれるんだろう。



「今日何回、声を押し殺して泣いた? 何回自分自身を責めた?」

「……っ、気づいてたん、ですか……?」



翠さん……。

いつも、気づいて……。

いつも、『頼れ』って……。



「うん。もっと早く気づいてあげたかった。だって俺、蓬の婚約者だから」

「翠さん……っ」



翠さんの胸の中で、ただ泣きじゃくった。

この人の優しさが、気持ちいい。



「……小さい頃から、橙華と比べられて……」

「うん」



ポツリポツリと、本音を喋り出した。



「『辛い』って、言うことも、許されなくて」

「うん」

「大事な、大事な橙華を、妹を、傷つけて……」

「うん」