腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

「わかった。何かあったときは呼んで。これ飲み物ね。昼飯はまた聞く」

「わかり、ました……」



パタンッと扉が閉まって、独りになる。



「橙華……」



何度も思い出してしまう。

震えた橙華の姿が。

本当に姉として、不甲斐ない。

もっと私がしっかりしていれば、橙華は傷つかずに済んだ。



「うっ……ふぅっ……っ」



昨日あんなに泣いたはずなのに、涙が溢れた。



「ううっ……うぁぁぁ゛……っ」



一度出てきたら止まらなくて、大泣きしてしまった。

でも翠さんに聞かれる訳にはいかないから、声を押し殺して泣いた。



「……」



扉の前に、翠さんがいるのことを知らずに。