「うっ……ふぅ……っ」
身体が、熱い……。
頭が、痛い……。
「蓬、大丈夫か?」
「ん……」
目が覚めると、心配そうに見つめてくる翠さんの瞳が映った。
ここ、は……?
「大丈夫か? あのあと、ずっとうなされていたんだ」
「えっ……あっ……」
鮮やかに思い出してしまった。
そっか、あのあと……。
「風邪引いているんだよ。だから大人しくな」
「そう、なんですか……」
ああ、だからこんなに頭が痛くて重くてダルいんだ……。
私は昨日のことも思い出して、翠さんに背を向けた。
「……出ていって、ください」
「は?」
「か、風邪……移るかもですし。それに……いや、なんでもないです……」
独りになりたい。
私には、人に甘えるなんてことできない。
生まれてこの方、したことがないから。



