腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

私と橙華は翠さんのお父さんの言葉に顔を上げた。

どうして……橙華の話題を?



「うちには女の子がいなくてねぇ。誰かが嫁いでもらうしか跡取りをつくる方法はないのだよ」



……だからなんで橙華の話を?

しかもなに、『跡取りをつくる方法』って。

……キモすぎでしょ。



「しかし、柏陽君には婚約者がいるのだろう? ならば安泰ではないか。わたしのところには邪魔な奴がいるせいで、世間体も悪いですよ」

「っ、は……」



邪魔な、奴?

この父親が私のことを言うわけない。

だとしたら。



「橙華は不登校で、しかも婚約者もいない。まあ、こんな出来損ないを婚約者に選ぶ者もいないだろうな、ははははっ!」



隣に座っている橙華の肩が、揺れ始めた。

いや、震え始めた。

……許さない。

邪魔な奴? 出来損ない?

出来損ないはてめぇだよ。

私の手の甲には、血管が浮いていた。



「っ……!」