腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

「そ、そんないきなり……翠さんに、聞いてみます」

《ああ、そうしてくれ。もし翠君が来れなくても、蓬は来なさい》

「……はい」



“来なさい”?

あなたに、なんの決定権があるのよ……。



「蓬、なんだったのー?」



電話を切ってすぐに翠さんに聞かれた。

私は恐る恐る話し出した。



「……翠さんのお父様方が、私の家に来るようで……。できたら、来て欲しいと……」

「なーんだ、そんなことか。日程は?」

「明日です」



答えると、翠さんは顔をしかめた。



「明日ー? 急過ぎでしょー。ダルいし、俺は行きたくないなー」



その言葉に、気持ちが暗くなった。



「わかり……ました。じゃあ、明日は私だけで行き───」

「行くけど」

「えっ」



行かないんじゃ? と視線で訴えると、笑い出した。



「だって、こんな不安そうな顔した婚約者を一人で行かせるわけないじゃん。じゃ、明日はそういうことで」

「……ありがとう、ございます」



……橙華、大丈夫かな。

大丈夫、和葉がいるし……。



「蓬、これ資料ねー」

「あ、ありがとうございます」



その日は橙華のことが気がかりで、仕事を覚えるのに時間がかかった。