腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

「やめ、て……」

「蓬?」



お母さん、やめて……っ。

橙華は、悪くない。

橙華は、何も……っ!

悪くない、のに……!

何も、できなかった。

その事実が、胸を突き刺す。

何度それで傷ついても。


『あんたとなんか、生まれてきたくなかった』


あの目が、忘れられない。



「っ……」



ダメだ、毎日同じようなことを考えちゃ。

私がしっかりしなくて……どうするの。

橙華……大丈夫、かな。

まさか、また出来損ない呼ばわりされて……!

……大丈夫、絶対。

和葉にも伝えたし、大丈夫。

そう自分を鼓舞し、翠さんとお兄さんを見た。



「兄貴、何しにきたんだ。大学部の生徒が高等部の棟に入るなんてご法度だろ」



お兄さんと喋る翠さんは、いつもの翠さんじゃなくて、真剣な目を向けていた。