腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

何度も、同じことばかり。

もう、聞き飽きたの。

『自分を見失いで』?

なら、橙華を助けて。

そうしたら私、幸せだから。



「『橙華を助けて』?」

「っ、え?」



翠さんの口から出た言葉に、目を見開いた。



「ごめん、調べたんだ。君の家のこと、妹ちゃんのためにしてること」

「……何がわかるんですか。私の気持ちなんて誰にもわからない。私は───」

「じゃあ、いつまでもそうすんの?」

「っ、え」



ドンッ、と壁に追い詰められた。

誰もいない廊下。

大きな音が響いた。



「妹ちゃんがもし、解放されるときがきたら。君はどう? 俺は君が解放されないと思う。自分を見失って、歩き回って。行き着く先は奈落の底だ」

「……じゃあ」



じゃあ、どうすればいいの?

使用人だって、父親には逆らえない。

守ってくれる人が、いないのよ。