『あ、あと僕たちは入寮します。もちろん、理事長の認可も下りました』



すると、またもや体育館は騒がしくなった。



「嘘でしょう!? あの“幻”とも言われた寮に入寮するなんて!」

「前に寮に入った方は何年も前のそうよ!」

「じゃあ私たちの世代で快挙ね!」



やっぱり、それほどまでに珍しいんだ。

まあ、この学園は普通じゃない。

落差が綺麗に見えていて、上位者は優遇される。

でも、入寮できる人は本当に少数なんだとか。



『入寮の手続きをするために、今日一日は僕たちは授業に出ません』

「えっ……」



翠さんの言葉に驚いた。

聞いてない。しかも授業に出ない?

そんなに堂々とズル宣言を言っていいの?

でも、そんな心配も無用だったよう。



「それくらいが普通よねー」

「だってあの寮ですもの! お二人に似合うお家に改造しなければ」



驚き固まっている私の横に、冬月さんが立った。

どうしたんだろう、と見ていると、ニコリと微笑んだ。