私は首席の成績を維持しているおかげで、学費が半分になっている。

それでも高いのがフェリシテ学園。

でもできるだけかけられるお金をなくそうと努力してきた。

いざというとき、「恩を仇で返す気か!」とか言われないように。



「いいや、蓬にかかったお金など少ないよ」

「ふふっ、ありがとうございます」



適当に笑って流す。

笑いすぎて顔が痛くなった。



「すみません、早く寮へ行く準備をしたいので、そろそろ」

「ああ。ご馳走様」



全員で席を立ち、部屋に戻る。

部屋でキャリーケースに荷物を詰めているとき。



「ねえ」

「っ、え?」



扉が開いて、橙華が姿を見せた。

何年振りだろう、橙華が私の部屋に入ってくるなんて。



「と、橙華……? どうして……」



驚いて声が震えた。

橙華は、軽蔑した目を向けてきた。



「私をそんなに馬鹿にして楽しい?」

「え……」



ゴクリと息を呑んだ。

あと、何か納得する部分もあった。

結局、橙華にはそう見えているんだと。



「あんたなんか、生まれてこなければよかったのに」

「っ……!」



心に、深く深くナイフが刺さった。

ゆっくりと扉が閉まる。



「私は……」



震えた声で独り言を言う。

私は───。


───生まれてこなければ、よかった?