腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

私はそう言い残し、来た道を戻った。



「……俺、あそこまで言えって言ってない」



翠さんは私について来ながらそう呟いた。



「ただのストレス発散です。言ったでしょう。一人でいる時間を奪われるのが一番ムカつくと」

「え、奪われたわけ?」

「ええ。一人で資料作りを堪能していたら割って入ってきたんので殴ろうかと思ってました」

「冷静になんてこと思ってんだ……。しかも資料作りを堪能って聞いたことない」



翠さんはまるで化け物を見るかのような目を向けてきた。



「堪能と言いますか、生徒会で一人でいられる時間はそれくらいしかありません。綴は全然仕事しないし、橙華も仕事慣れるのに忙しそうで騒がしい。まあ橙華は可愛いから良し」

「シスコンが過ぎる」

「で、あの男はただただうるさいだけ。先輩の橙華でさえ一生懸命やっているところを見て何もしない。何もしないどころか私を口説きにくる。ただあいつは九条グループの跡取りの地位が欲しかっただけだと思います」



九条グループは今は橙華が経営してるけど、結婚でもしたら旦那が継ぐだろう。

その地位が欲しいから私か橙華を口説き落とそうとした。