腹黒王子様は、孤独なシンデレラに愛を抱く。

「あー、もう好き。早く結婚しよー? 俺早く結婚したーい」

「私が大学部を卒業するときですよ。まだダメです。私、新婚旅行とか楽しみにしてますから、行けない学生の時期はダメです」

「え、何それかわい。新婚旅行どこ行く? 俺イギリス行きたーい」

「私はパリとかに行きたいです。ハワイもアリですね」



そうこう話しているうちに、時刻はもう夜の10時だった。



「翠さん、明日も学校ですから、そろそろ寝ましょう。お風呂入ってきます」

「一緒に入ろ〜」

「無理です。私、一人でいる時間を奪われることに一番腹立つんです」

「いーじゃん。俺らは一心同体でしょ? 蓬ちゅわぁん」

「キモ。とにかくお風呂入ってきます」

「悲しい〜」



駄々をこねる翠さんを放って、私は脱衣所に向かった。

しっかりと鍵をかけ、お風呂に浸かる。



「蓬ぃ〜、一緒に入ろーよー」



ドンドンと脱衣所の扉を叩く音が聞こえてため息をつく。



「なんですか翠さん。とにかく入ってきたら許しませんからね」



扉はスライド式だから、開けようと思えば力業で開けられる。

翠さんならしそうだし、本当に怖い。



「えー、ダル。明日覚えといてよ! 絶対今日の仕返しするから!」

「はいはい」



私はその、“今日の仕返し”の内容が、自分の考えているものとは違うことをまだ知らなかった。